肺血栓

心臓から送り出された血液は動脈を介して全身に行き渡り、静脈から心臓へと戻っていきます。
動脈硬化は下り路線である動脈を渋滞させる原因となりますが、上り路線である静脈にも確かな影響を及ぼします。
エコノミークラス症候群として知られる肺血栓について解説していきます。

血栓が肺に飛ぶと…肺血栓塞栓症の怖さ

動脈硬化は動脈血管を狭窄させることで血流を阻害し、血液の塊である血栓を発生させ血管を閉塞させてしまう性質を持っています。

この血栓は動脈硬化だけが原因となって起こるわけではなく、時には全身から心臓に向かう静脈に発生することがあるのです。

肺血栓とは

肺血栓は、血栓が静脈を通って肺に辿り着き肺内部の毛細血管を詰まらせることで発症する「肺血栓塞栓症」または「静脈血栓塞栓症」のことです。

肺内部の毛細血管は酸素と二酸化炭素を交換する働きを持っているため、毛細血管の塞栓は呼吸困難につながり、重度になれば命の危険を伴う病気へとはや代わりしてしまうのです。

肺血栓の原因

肺血栓は、静脈に血栓が出来ることを原因として発生します。
静脈の血栓は血管の破損や血栓が出来やすい体質などによって発生しますが、動脈硬化を患っていると発生するリスクが上昇します。

動脈に発生した血栓の多くは、脳や心臓の血管に運ばれ脳血管障害などの原因になりますが、場合によっては静脈にまで達してしまうことがあるのです。

また、動脈硬化だけでなく高血圧・高血糖・高脂血症などのメタボリックシンドロームに関連する疾患も肺血栓の発病リスクを高めることがわかっています。

エコノミークラス症候群とは?

肺血栓の別名であるエコノミークラス症候群は、飛行機のエコノミー席の乗客に肺血栓の症状が多く見られることにちなんでいます。

エコノミークラスのように余裕の少ない空間で長時間同じ姿勢をとり続けていることで、血液の滞留が起こり血栓の原因になってしまうのです。

飛行機ではトイレに行くのが億劫になりやすいため水分補給を減らす人も少なくないものですが、脱水症状は血栓の原因にもなるのです。
またエコノミークラスではない、ビジネスクラスやファーストクラスでもエコノミークラス症候群が発生する場合もあります。

治療について

肺血栓は早急に治療できれば社会復帰に支障は無い病気ですが、全体の約3割が最悪の結果を迎えてしまうことがあります。

また再発する可能性もあり、再発した場合は命に関わるリスクが急上昇してしまうことが報告されています。

予防するためには

肺血栓の予防に当たっては、「立ち上がるなどして体勢を変え、血流を確保する」「水分をこまめに補給して脱水を防ぐ」などの対策を取るのが良いといえます。

水分補給には利尿作用のあるお茶やコーヒーは控えるのが無難です。

治療の方針

肺血栓の治療は、血栓の除去と血流の確保を目的とします。
主な治療法としては血栓を防ぐ抗凝固剤の投与や血栓溶解剤の投与による薬物療法が行なわれます。

血栓が大量に発生し一刻を争う状況の場合は血管内カテーテルの導入による血栓の破砕や除去を目的とした血管内治療法、もしくは外科手術による血栓除去を行います。

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