閉塞性動脈硬化症

動脈硬化によって起こる合併症としては、脳卒中や心筋梗塞など上半身に集中した病気があります。
だからといって動脈硬化の影響が下半身に出ないというわけではないのです。
脚の動脈に起こる閉塞性動脈硬化症は、生活に支障をきたす重い症状を持っています。閉塞性動脈硬化症とはどのような病気なのでしょうか。

下半身に襲い掛かる閉塞性動脈硬化症とは

動脈硬化が起こる動脈は、心臓から送り出された血液を全身に循環させる役割を持っているため身体中の至る所に存在しています。

動脈硬化を起こした動脈の多くは脳卒中・脳梗塞などの脳血管障害や心筋梗塞・狭心症などの虚血性心疾患の原因となります。

しかし、脚で動脈硬化が起こると脳血管障害や虚血性心疾患とは別の症状を発生させるのです。

閉塞性動脈硬化症について

閉塞性動脈硬化症は、下半身に血液を送る大動脈に動脈硬化が発生することで起こる病気です。
発生する部位は腹部からの大動脈下部から太腿の大腿動脈までの範囲です。

原因としてはカルシウムの蓄積による中膜硬化や血液中の脂質の増大に伴うアテローム性硬化などがありますが、糖尿病の合併症として発生する場合があります。

また、喫煙も発病原因の一つとなっていて、50歳代からの男性に多く見られるのも特徴と言えます。

演歌歌手の村田英雄さんが晩年苦しんだ病気としても知られています。

症状はどのようなもの?

閉塞性動脈硬化症の症状は、四段階に分かれます。
症状の軽い第一段階では血行不良から時折足に冷たさを感じるようになります。
脛毛などの脚の毛が抜け落ちる場合もあります。

第二段階では「間歇性跛行」といって、数十〜数百mの幅の一定距離を歩くと太腿や脛の筋肉に痛みが起こり歩けなくなる症状が出ます。

第三段階では安静にしている状態でも疼痛が発生するようになります。

第四段階では皮膚に潰瘍が起こり、足の指などの末端組織が壊死を起こしてしまうようになります。
第四段階にまで入ると足の切断手術を行なわなければならないことが多く、義足の装着や車椅子の使用が必要になるケースも見られます。

また、閉塞性動脈硬化症などで足の血圧が上半身の血圧より低い場合、認知症を発症しやすくなり寿命が半分に縮まるというデータもあり、命を脅かす病気としての側面を強く持っているといえます。

診断と治療

閉塞性動脈硬化症は、初期の段階では自覚症状が少なく早期発見が難しい病気の一つです。

第二段階の特徴である間歇性跛行も他の病気で見られる症状でもあるため、診断に手間取ることも少なくありません。

閉塞性動脈硬化症への検査ではMRI検査や足首の血圧と太腿の血圧を照らし合わせる上下肢血圧測定が行われます。

治療法について

閉塞性動脈硬化症は第二段階までの症状であれば、薬物療法の適用が受けられます。

処方される薬としては、血栓を予防する抗血小板作用のある薬や血管拡張効果のある薬が上げられます。
第三段階以上では外科手術が必要になります。

手術法としてはカテーテルを患部に通してバルーンやステントで血管拡張を行う経皮的血管形成術、人工血管を移植するバイパス手術、採取した静脈血管を移植する静脈グラフト手術などがあります。

最近注目されている開発中の治療法としては、骨髄から分離した血管幹細胞を移植して新しい血管を発生させる血管新生療法があります。

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